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普段着のカリグラファーSao


by uncial
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活字職人

本日は、文具ショーとブックフェアのハシゴをしてきました。

場所は毎度の東京ビッグサイト。ホビーショーの時に車で行って楽チンだったので、今回も車で行ったのだけど、平日の早朝は道路が混むね。しかも、ホビーより大きく、いくつかの見本市を同時開催しているので、来場者も多いみたいで、駐車場も予定していた西側が満車で入れず、北側の駐車場へ・・・。一日1500円の駐車場代の元を取るには、6時間はいないと・・・。そんなにいないだろうなぁ、と思っていたら、会場を出てからワンザモールへ食事に行ったので、結局7時間いたことに。まぁ、いいか。

しかし、会場に着くまでに2時間半運転して(眠かった!)、すぐ会場入りしてダラダラとブースを端から物色、歩き続けること6時間!一回だけ、アドビのブースで20分のセミナーを受けるために座ったけど、あとは立ちんぼ!疲れて眠くて、アドビブースでは眠気と戦いつつ、なんとか頭に叩き込み。次のセミナーも受けたかったけど、体力と眠気の限界を感じて諦めました。

DNPのブースで、すごく貴重な体験をしました。
活字で印刷をする職人たち。
コンピューターのフォントやオフセットでの印刷が主流、というか、ほとんどの、今日の印刷物。でも、まだ活字を植字して活版印刷している工房がある。そこの職人たちが実際にこのブースに来て、活字を彫ったり印刷をしてくれたのだ。

鋳型を作ったりしている時間が無い、緊急に文字が欲しいとき、夜中でも起こされて工房に彫りに行くこともあったという中川原さんは、活字掘り職人。この他に、校正のために活字を入れ替える差し替え職人や、印刷をする職人、版を組む職人など、行程ごとに職人がいる。活字が並ぶ棚は、その職人が取り出しやすいようにそれぞれ並べ方が工夫されている。何千もの活字が、背の高さより高い何段もの棚に収まっていて圧巻。

今回のデモンストレーションは、目の前で活字を彫り、その活字を差し替えて印刷をするというもの。
道具も独特なものが多く、掘るための刀は、引いても押しても削れるようになっている。鉛を削るため、刃がだめになりやすく、手元にはすぐに砥げるように、砥石が置かれている。
台にしているT字型の木製台は、使いやすいようにその人に合わせて、大工さんが作るそうだ。
いろいろ、説明を聞きながら、手元のアップの映像や、実際の様子を見ているうちに、20分くらいで9ポイントの小さな活字「銀」を彫り上げてしまった!

活字職人_d0037951_21481567.jpg


できあがった「銀」を、組み上がっている版の中のものと差し替え、実際に印刷をしてみる。活版印刷のいいところは、力強さ、温かさ。裏側に圧迫されてできた文字の浮き出しがなんともいい感じ。印刷されて出てきた紙をいただくことができました。

刷り上ったものだけを見ると、簡単に考えてしまうけど、今日あらためて活字を作るところから、文字をゲラに組み、原稿にあわせて組版をし、校正をして・・・という行程をすべて手作業で進めて行くのを見て、これは一種の芸術だと思いました。
私も以前、コンピュータによる写植の仕事をしていたし、校正の通信教育も受講したことがある上、現在、広告の仕事の中にいる機会もあるので、専門用語や用具の名前なども自然と入ってきて、とても興味のあるデモでした。
活字を拾い上げてこめるときの、カチャカチャという音が、なんとも心地いい。あーイイ音!

この中川原さんの手彫りの活字は、機械で作った活字より、キラキラと輝きが違うんだそうだ。彫刻刀で彫るため、彫りの部分が機械よりシャープになり、それが輝きの違いとなって出るんだとか。中川原さんが彫った活字たちが展示されていました。小さいものは6ポイント!ち、小さい!いい仕事してます!
この技術、受け継ぐ人がいなくてこのままでは廃れてしまうそうです。ん~、私、継ぎましょうか?(無理!(笑))

活字職人_d0037951_21483698.jpg

これら、手彫りですよ手彫り!ハンドメイド! すばらしい!

なかなか見られないものを見ることが出来て、これだけでも来た甲斐があるというものです。

それにしても、疲れた!もぉ~限界!というところまで歩きました・・・。
今日は早く寝ます~。
by uncial | 2006-07-07 21:49 | アートなこと